月が、綺麗だったんだ
 大学を卒業するまでの二年。
 旅行に行ったり、お泊まり会したり。
 私にとっては新しいことばかりで、楽しかった。


 就職してからの二年。
 すれ違うことは多かったけど、誰よりも一番近くで過ごしてきた。


 気持ちは見失ってしまったけど、アイツがいない日は想像しなかった。


「……重いんだよ」


 月を見つめて、私は改めて、静かに言った。


 私たちの間に、沈黙が流れる。
 風が草木を揺らす音が心地よい。


「ありがとね、琉唯。少しだけ楽になった気がする」


 琉唯からは言葉が返ってこない。


 そんなに困らせるようなこと、言ったかな。
 いや、そもそもこの話題が困らせる原因か。


「……なあ、依茉」


 すると琉唯は、緊張感が漂うような声で、私の名前を呼んだ。


「ん?」


 対して、心が軽くなった私は、気の抜けた声を返す。


「月が……綺麗、だな」


 琉唯に言われて見上げると、月は雲で隠れている。
 というか、琉唯は月を見ていない。


 ああ、知らなかったな。
 琉唯が文学的なことを言うなんて。


「……うん。月、綺麗だったんだよ」
「……そっか」


 ありがとう。
 ごめんね。




< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

貴方ともう一度、恋の夢を

総文字数/14,291

ファンタジー22ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
生まれ変わっても、貴方と恋をすると決めていた ❀ あの素敵な人は、誰? ❀ 夢で出逢う貴方に強く惹かれるのに 貴方は私以外のひとを見ていた
この恋は、終わらないと思ってた

総文字数/8,895

恋愛(純愛)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
記録を残すためのSNSだと、思ってた 元カレのことが忘れられない大学一年生 春瀬美音 × 少し強引な金髪先輩 真城千翔 ❀ 「どうして私に優しくしてくれるんですか?」 「春瀬の笑った顔が、可愛かったから?」
嘘つき、桜月。

総文字数/4,498

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「私が? 友哉のことを? ……寝言は寝て言って」 素直になれない少女 卯月玲奈ーUduki Renaー × 「いつまで経っても、素直じゃねえなぁ」 玲奈の幼なじみ 相馬友哉ーSoma Yuyaー ❀ 素直になれない私のバカ…… ……あのね 友哉のこと…… 好きじゃない、よ

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop