虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
レストランはにぎわっていたが、ふたりのために窓際の夜景がよく見える席を準備してくれた。
「よろしいのですか? この席を私たちが占領して」
「特別な夜だから、許してもらえるさ」
「特別」という言葉は魔法のようだった。ふかふかのじゅうたんを歩いているからではなく、全身が浮き上がるようだ。
そんな真矢を岳はエスコートしてくれる。
しかもずっと微笑みを浮かべているので、いやでも周囲からの注目を集めている。
席について、岳はメインが肉料理のコース、真矢は魚のコースを選ぶ。
そして、シャンパンで乾杯だ。
「改めて、乾杯。これまでビジネスパートナーだなんて言って、悪かった」
「いえ、そんな」
仕事にしか目が向いていなかった真矢には、ビジネスパートナーという言葉だってありがたかった。
「俺が気まぐれで君に結婚を申し込んだと思っていた?」
「仕事の上で必要だからかなって、ずっと思っていました」
岳は残念だというように肩をすくめた。
「私、ずっとあなたにあこがれていたんです」
「いつから」
「ホテルに勤めているとき、あなたの姿を見かけたら舞い上がるくらいうれしかった」
「知らなかった」
真矢は正直に自分の気持ちを口にした。
「君のことは、あのパーティーの夜から気になっていた」