虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます


「まーちゃん、お待たせ」
「和真」

和真が礼服姿の遠藤の祖父母とともに姿を見せた。珍しくスーツを着ていて、少し緊張した表情だ。

「これで揃ったかな」

「ええ」

突然「写真撮影する」と誘ったから、きっと遠藤家も大騒動だっただろう。

「おめでとう、真矢」
「まーちゃん、似合ってるよ」

「うれしい」

東京での披露宴への出席を遠藤の祖父母は遠慮していたから、岳はそのことも気にしていたようだ。
遠藤の祖父母や和真と久しぶりに会えて、真矢もうれしかった。

「ありがとう、岳さん」

小さな声でお礼を言うと、岳はうなずいて真矢の手を取る。

「お待たせいたしました~」

手配していたカメラマンも、準備ができたようだ。

「それではご家族のお写真から撮影いたします」

真矢の胸に、家族という言葉が響いた。
この桜の木の下に、新しい家族が揃っていることが不思議な気がする。

「なんだか、緊張するな」

珍しく岳が肩をほぐしているような動きをしている。

「ここが出発点のような気がするんだ」
「そうですね」

今は桜が見ごろだが、秋の紅葉の頃にはふたりの子どもが生まれているだろう。
仕事と子育ての両立には不安もあったが、華怜が「明都ホテルグループを、女性に優しい会社にして見せる」とはりきっている。
自分の時までに、働きやすい環境を作りたいそうだ。
ちなみに華怜は部長職になった森川と交際しているとかいないとか、うわさされているらしい。



これからの日々、ますます忙しくなるかもしれないが、真矢のとなりには岳がいてくれる。

「さ、笑顔でお願いしま~す。はいチーズ」

カメラマンの明るい声につられて、真矢は微笑んだ。
きっと岳や陽依、和真と遠藤の祖父母も笑顔だろう。

しだれ桜もきっと見てくれている。これからずっと、真矢がどんな人生を歩んでいくのかを。




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