虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
叔父や叔母は真矢がしていることに無関心だったが、経営の話を持ちかけても聞く耳は持たなかった。
そんな毎日を過ごしているときに、いきなり都々木岳が現れたのだ。
(もう二度と会うことはないと思っていたのに)
真矢は都々木岳に再会したことで、忘れようとしていた東京での日々を思い出していた。
自由な暮らし、手ごたえのあるホテルでの仕事や仲間との楽しい時間。今となってはすべてが遠い。
おそらく岳と一緒に泊まっているのは、明都ホテルグループ本社の社員たちだろう。銀座のホテルの宴会企画部にいた真矢とは接点がなかったから、顔を見てもわからないはずだ。
(思い出さないでほしい)
都々木岳の記憶に、自分は残っていないはず。
今の真矢は、あの頃と着ているものも髪型も違っている。
覚えていなくて当たり前だとわかっているのに、なぜか真矢は岳に自分を見つけてほしいとも思っている。
自分がここにいることを、岳に知ってもらいたい。それは寂しさの裏返しだとは、まだ真矢は気付いていなかった。