虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
昼前になって、真矢が寝室から出てきた。
たっぷり眠ったからか、表情はすっきりとしている。
「起きても大丈夫なのか?」
「はい。ご迷惑おかけしました。お医者様まで呼んでくださって、ありがとうございました」
ぼんやりした記憶らしいが、医者に診てもらったり看護師に着替えさせてもらったことは覚えているらしい。
岳が着替えさせたなんて誤解されてなくて助かった。
「熱は下がった?」
「もう平熱です。すみませんが、バスルームをお借りしたいのですが」
「ああ。そのドアだ」
熱のせいで汗ばんだ体が気持ち悪かったのだろう。
シャワーを使ってさっぱりしたようで、リビングに戻ってきた真矢の顔色はそこまで悪くない。
あらためて素顔の真矢と向き合った。
「ご迷惑おかけしました。ベッドまで占領してしまって」
岳の寝室で眠っていたのを気にしてか、シーツの洗濯をさせてほしいとまで言っている。
明日は家政婦が来るからと説明して、とりあえず落ち着かせた。
「たいしたことなくてよかったよ。なにか食べるか?」
「食欲はあまりなくて」
「じゃあ、水分だけでも」
リビングのソファーに座らせて、ミネラルウオーターのボトルを置く。
「ありがとうございます」
水をおいしそうに飲む真矢は、いつもの落ち着きを取り戻したようだ。
安堵する気持ちと同時に、これから話す内容が真矢の負担にならないよう慎重に言葉を選んだ。
対鶴楼の支配人や父と話したことを、誤解のないように伝えていく。