正しくなれない(仮題) <シナリオ形式>
2 転校生
◯2年A組の教室・1学期

クラスの風景

小泉いくえ「日本の識字率ってすごくて、知ってる?
99.9% これって諸外国でも珍しいっていうか」

(わし)田シンジ「勉強っす 何事も勉強っす」

木原みほ「やーなんだけどー
あの1年」

小倉ともみ「あー、あれ」

木原みほ「あのブタ」

小倉「はいシボウ」

小倉がシボウと言いながらチョップ投入

小倉ともみ「確かに あれは無いと思うけど。
あっ こいくー今年 学級委員やんないって本当?」

小泉「うん。何か急に? 図書委員やりたいかも」

小倉「図書委員 の方?」

木原「疲れ 疲れ
(カバン)改正のせい」

小倉「えっ本当? ごめん
別に どうでもよかったかも」

木原「はぁ?」

小泉「うーん どうだろう
やりがいは有ったけど」

木原「ありがたやーありがたやー」

小倉「あやかりやーあやかりやー」

二人して手をすり合わせてお祈りの真似

小泉「うーん っていうかね
あれは、カバン改正委員会の中でも委員長と副委員長が主立って動いくれたからだし
私は特に何もしていないっていうか
それに
いつか誰かやらなきゃ いつまでも変わらないっていうか 物事は」

小倉&木原「事実上引退宣言!!」

小泉「じゃあ取りあえず そういう事で
それに隣のクラスのぬこにゃーが、一緒に図書委員やりたいって」

「あー ぬこにゃー」「あの子本好きそう」とか木原と小倉がやいのやいの

上松レイン登場

上松レイン「オレ、このクラスよ
よろ」

小倉「あっ
さっきの!」

小泉「好青年!」

木原心の中で笑いをこらえる

木原(好青年ぷ)

木原「新入ねぇ」

小泉「しかし2年の中だるみの時期で転校生かぁ
先生も何考えてんだか」

上松レイン(中だるみ、ぷ)

小田「はあ? 先公でもねーくせに 中だるみ言う?」

小泉「中だるみは中だるみなの
理由はちゃんとあって、何もしない時期に何もしない
に近いけど」

担任入って来る

Y先生「はーい、席に着きなさーい
そして2年生最初の学活ですよー
先生 校長先生の話に感激して…もう涙 涙
更年期かしら」

藤原のり子がぷっと吹き出す

藤原「ぷっ」

小田「あはは しょっちゅう」

Y先生「こらー! また泣きますよ!!」

小田が調子に乗って しょっちゅうダンスしている

鷲田「ぷーん」

小田が鷲田を小突いたりしている

Y先生「もう、どんどん始めちゃいますよ
出席から」

生徒の一部が、出席を取る傍ら話し出す

小田「あのアジャ
ヤバくね?」

鷲田「しっ聴こえるぞ! 皆んなーあのアジャやばいよー」

Y先生「こらー! やばいはダメですよー!」

鷲田「ほら怒られた」

小田「ジャージで理科教って
ただヤバくね?」

鷲田「ジャージで理科はヤバいそうです」

小田が変顔で

「!」

鷲田「先生! 枢機卿(すうききょう)です! 間違えました」

小田が鷲田を小突く

鷲田「やらしー」

小田「うぜ」

Y先生「それではー、早速ー
係を決めましょう」

Y先生「と その前にー
転校生! ええっと上松レイン君! 
一応 前へ出て自己紹介してもらえるかな」

上松レインがガタッと立ち上がり、教室の教壇の横・入口側に位置する

上松レイン「ええっと 双子の姉貴が
先にこの中学に入って それで後からオレが、
つかオレたち 同じ名字で…いわゆる双子です

よろしくお願いします」

上松レインがペコっとお辞儀をした

Y先生「ありがとう!」

上松レインが自分の席に戻る

Y先生「上松君は、お父さんの事情で
後からこの中学校に来ました

Y先生が上松レインの方を覗き込むように

Y先生「だよね?」

上松レインがコクンと静かに頷く

Y先生「と
言うことで まず学級委員」

Y先生「立候補! 男子!」

鷲田が挙手

Y先生「他には?」

黒板に『鷲田シンジ』と書きながら

Y先生「男子鷲田シンジと」

Y先生振り向いて

Y先生「じゃあ女子」

藤原のり子が手を挙げる

Y先生「藤原さんね
他には?」

Y先生が素早く黒板に『藤原のり子』と記載する

Y「ん〜?」

Y先生が小泉の方をまじまじと(にら)むように見つめる

小泉がジェスチャーでNOのサイン

Y先生「逃げましたねー!」

小泉「人聞きが悪いですぅ」

鷲田が甲斐甲斐しく

鷲田「申し訳ない
うちの子が不憫(ふびん)
『ぶっふ』
でして」

鷲田が不憫と言いながら『ぶっふ』と吹き出す

Y先生「まあ いいでしょう」

Y先生「さて どうしようかな」

Y先生「じゃあ 今回は、
全部の係 並べて
最後に一斉信任
意味 分かるー?」

鷲田「はい」

鷲田が生真面目っぽく答えた

Y先生「では ではー
生活委員!」

しーんと静まり返る

Y先生が小泉をあからさまに見て

Y先生「まだ ですかー?」

Y先生「でーはー 全部書きますからね
皆さん 前へ出て来て
自分のやりたい係に名前を書くように」

生徒「はい」

生徒「はーい」

生徒たちががやがやしながら
それぞれ
前の黒板に名前を書き始める
教室は賑やかだ

ナレーション「結局
学級委員は
去年と同じお調子者優等生 鷲田シンジ
女子は、インテリ英語 藤原のり子
図書委員として何故か小泉いくえ」

ナレーション「新たな学年の始まりに
新しい友達
新しい
そう

ナレーション「このJ中学校は
去年から新たな校則
改正(カバン)校則が発足された

今まで、学校指定の鞄 男女別の指定鞄から
ほぼ自由化
中学生らしさの範囲内・キーホルダーは1個まで・今までの指定鞄も使用可 (など)
いくつかの校則の上で 実行された」

ナレーション「混迷の時代
東京の片田舎
真実と本当と

呟き(大人たちの(うそ)は嫌だな)

今は そう思える


そう 時代と
そして生きた証

生きた
たとえ全てとは 言えなくても」

< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop