正しくなれない(仮題) <シナリオ形式>
3 人と
◯2年A組の教室・4月12日

小泉が上松レインの元へ駆け寄り

小泉「ねえねえ上松君ー
B組の上松まりあさんと双子って言ってたでしょ?

双子って普通は男子ーとか女子ーとか どっちかどっちかで
男女の取り合わせって 珍しくない?」

上松レイン「あー、それは

上松レイン少し面倒臭そうに

上松レイン「二卵性って言って
珍しいパターンってやつ」

小泉「へえー 珍しいんだー」

小泉がにやけて言った

小田「珍しいって言や あいつ」

鷲田「ああ 一年の
入学式 居たよな」

小田「明らかに 目立ってま」

小泉「ああいうのはアルビノって言うの
先天的な色素欠損で… 何もおかしか無いっつーか」

『ガタン』

上松レイン多少荒れて椅子を蹴った
上松レインが呟く

上松レイン「…面倒臭い」

上松レイン多少わなわなしている

小泉「大丈夫?」

木原「〜かわいそ」

小倉「ちょ
ちょっと 新学期早々」

小泉「ごめん上松君
何か有ったら あ そうだ
私か 学級委員の鷲田君か藤原さんに言って」

上松レイン「…」

小泉「それに B組の方の上松さんだって
私 一年の時 背の順で隣だったし
それに
それで騎馬戦で同じチームだったんだよ!
大丈夫だよ
(って何が大丈夫なんだか)」

一瞬

上松レイン「あーあ」

小泉「?」

上松レイン「別に」

上松レイン上を見上げる

空の景色


◯通学路・朝

何でもない通学路の風景

声「こいくー!
早く! 早く!」

小泉いくえが多少ボーっとしながら横断歩道を渡ろうとする

声「あ」

向こうから車が
余りスピードを落とさずにカーブして

キキーと急ブレーキ!

小泉
車に多少当たる形で
後ろに倒れる

運転手「ふざけるな!」

運転手の男がハンドル席のドアを開け
振り向きざまにそう怒鳴り声を上げ

小泉「えっ」

小泉怖がっている

運転手「バカ野郎ー!!」

車は走り去る

小泉が体を押さえ

小泉「ちょっと
いたた」

声「こいくー 大丈夫ー?」

小泉「あ うん」

小泉(何だろう…
嫌だな)

小泉がゆっくりと起き上がって体を払う
荷物を拾う

桜吹雪が舞う

斜めに眩しそうにする小泉



◯学校の教室・春日和

いかにものどかな春めいた(ユーミンの『春よ、来い』のイメージでちょっと切なげ)
窓から桜の樹々が見える 多少葉桜だ

木原「はぁ〜あ
桜散る」

小倉「花より団子 ダメ?」

木原「最悪ー」

小泉がギリギリっぽく教室に入る

小泉「今日ちょっと嫌な事あった
うーん何でだろう

こう歩いてたら急に 車?
ぶつかって
って初めて! 歩きながら寝ましたー!!」

小田が笑いをこらえながら
ぽそっと

小田「歩き寝」

星野「歩き寝ー
歩き寝! いただきました」

山口「あーるーきーねー」

小倉「投げ飛ばします
あと30秒 29 、28 、27…」

小田と星野、山口が
後ろで小倉とアチョーとやっているのを背景に

上松レイン「昨日は、ごめん

友達
だって大切 だ
よな」

小泉「うん
…?」

小泉きょとんと上松レインを見つめる

上松レイン微妙なような照れたようなクールな表情

小田と山口が格闘ゲームのワンシーンのように

小田がスペシウム光線みたいなポーズ

小田「友情ビーム」

くらう山口

山口「ぐふっ」
「ぐはぁー ー」

山口がスローモーションの真似風に倒れていく
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