神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
な、何で。

「何でっ…お前ら、ここにいるんだ…!?」

「漬け物、美味しいね」

「いや、あの…。糠漬け食ってないで」

食べるのは良いんだけど。でも、俺の質問に答えてくれ。頼むから。

「…何でここにいるのか、って質問は、そりゃ俺の台詞だよ」

ジュリスが、頭についたススを払いながら答えた。

「お前らこそ、何でこの国にいるんだ?」

「それは…。呼ばれたんだよ、イシュメル女王に…」

「キルディリア女王に?」

「あぁ」

俺はジュリスに、イシュメル女王がルーデュニア聖王国に、戦争の協力を求めてきたこと。

その返事をする為に、わざわざ名指しでシルナを呼んだことを説明した。

そして…戦争の参加を断っても、イシュメル女王は俺達を返してくれず。

それどころか、この国に寝返るように強要されている。

断れば、今度はルーデュニア聖王国に宣戦布告すると脅されて…。

「…そういうことだったのか…」

…分かってくれたか、ジュリス。

「…ほぇー…。ふーん…。なるほど〜…」

「…お前、本当は分かってないだろ」

「ほぇ?」

…まぁ、ベリクリーデは分かってないようだが。

ジュリスだけでも分かってくれたなら、それで良い。

「ほらね、二人共悪くないって言ったでしょ?」

「あぁ…そうだったな。やっぱり、あの記事は嘘だったんだ。…安心したよ」

「…記事?」

って、何のことだ?

「お前ら…。知らされてなかったのか。あの新聞記事のこと」

「ジュリス…。新聞記事って何のことだ?」

「これだよ」

ジュリスが、自分の上着のポケットから、小さく折り畳んだしわくちゃの紙切れを取り出した。

それを広げて、シルナと共に覗き込むと。

そこには、驚くべき内容の記事が掲載されていた。

まず目に入ったのは、俺とシルナを写した写真。

背景には見覚えがあった。

数日前、俺達が視察に行った、キルディリア国立魔導師学校だ。

あの学校を見に行った時、写真を撮られていたんだ。

一体、いつの間に?

写真の中では、俺もシルナもカメラの方を向いていなかった。

完全に、不意打ちで撮影されたものだ。

そして、それ以上に驚いたのは、新聞記事の見出し。

あろうことかそこには、俺とシルナがキルディリア魔王国に亡命し、アーリヤット皇国との戦争に協力することが決まった、と書かれていた。

…おい、これ何処の新聞社だよ。

虚偽の情報を掲載するな、って文句言いに行ってやる。

「この記事の真偽を確かめる為に、俺達はここまで来たんだ」

と、ジュリスが言った。
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