神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
えぇと、今、公開している映画は…。

まず一つ目。

「『エターナル・ラブ・ロマンス2』ですって」

「うっ…。…いかにも、恋愛モノって感じだね…」

さすがに、これを男二人で観る勇気は…。

「え、嫌なんですか?」

「…ナジュ君は良いんだ…?」

「仕方ないですね。それじゃ、こっちの『劇場版Ero Mafia〜とあるマフィア幹部の半生〜』という映画にしましょうか」

な、何それ。変なタイトル…。

マフィア幹部の半生…。全然想像出来ないけど。

マフィアの幹部というからには、きっと、波乱万丈の人生模様なんだろうな。

意外と面白いかもしれない、と思ったが。

映画館の入口に、今上映されている映画の宣伝ポスターが、それぞれ貼ってあるんだけど。

そのポスターを、よくよく見てみると。

この映画、R18って書いてある。

つまり、その、そういう…過激な描写があるってことだよね?

血がブシャーって出たりすんだろうか。怖っ…。

「ね、ねぇ。ナジュ君。やっぱりこの映画、やめ、」

「面白そうですよねー。僕の来世が弟子に、」

えっ?

「と、とにかくこの映画はやめよう!」

「?やめるんですか?」

「う、うん。別の映画にしよう。ね?お願いだから」

「仕方ないですねー。それじゃ…」

ナジュ君が突然、にやりと笑った。

何、その笑顔。

「すみません天音さん、僕、あなたのこと分かっていませんでした」

「えっ…?」

何、いきなりどうしたの。

「天音さんは、大きなお友達だったんですね」

…大きな…。…お友達?

言っている意味がよく分からなくて、首を傾げてしまった。

「勿論、趣味嗜好は人の自由ですからね。大丈夫、天音さんがロリコン趣味だったとしても、僕は軽蔑したりしませんよ」

「ぶへぁっ。な、何?どういうこと…!?」

何だか、とんでもない誤解が生まれているような気がする。何だかとんでもない誤解が。

「だって天音さん…。これ、観たいんでしょう?」

と言って、ナジュ君が指差したタイトルは。

『劇場版 美幼女魔女★まじかるうぃっち』。

思わず噴き出しそうになった。

「だったら、隠さずに素直に言ってくれたら良かったのに」

「ちょっと待ってナジュ君。観たいなんて言ってない。僕、これ観たいなんて言ってない!」

「大丈夫、大丈夫。照れなくて良いんですよ」

照れてる訳じゃないから!

って言うかナジュ君、僕の心を読んでるんだよね?だったら僕がその…ロリ、趣味じゃないことは分かってるよね!?

「安心してください、天音さん」

「…何を?」

「幼女アニメ。二人で観れば怖くない。ということで、大人2枚くださーい」

「待ってナジュ君!チケット勝手に買わないでー!」 

他にもあるじゃない。上映してる映画。いっぱい。

何で寄りによってそれなの?ねぇ。
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