神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
僕はほんの少し、考えた。

自分がどうすべきか。どうしたいのか…。

小刀を強く握り締めた。

殺そうと思った。やっぱり、今すぐ殺してしまおうと。

それが、僕のすべきことだった。

『アメノミコト』の暗殺者として。そして、『八千歳』を守る為に。

今の僕は黒月令月じゃない。暗殺者『八千代』なのだから…。

…だけど。

僕は、強く握り締めたその小刀から、手を離した。

ころん、と小刀が床に転がった。

そして、僕は口を開いた。

「…そこの武器は、もう売らないで」

「えっ…?」

てっきり殺されると思っていたのだろう。

さっきまで土下座をしていた息子は、きょとんとしてこちらを見上げていた。

「山の中にでも埋めて。それから、もう二度と武器の密輸には手を出さないで」

「…」

「お願いだから。…そうしないと、君達、今度こそ殺されるよ」

「…」

息子が何を考えているのか、言うまでもなく分かった。

今、殺すんじゃないのか?って。

命乞いを聞いてくれるのか?って。

…そうだよ。

僕は、この親子を殺さないでおこうと思ったのだ。
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