神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
「そうですか…。召喚魔導師…。…きっと、優秀な魔物と契約してるんでしょうね…」

ただの召喚魔導師じゃ、金カード持ちにはなれまい。

きっと吐月や、昔のナジュみたいに…冥界でも指折りの魔物と契約してるんだろうな。

「そんな。私なんてまだまだですわ。一応、上位の魔物と契約していますけど」

ほら。「まだまだ」とか言いつつ、充分強力な魔物じゃないか。

このご婦人、あれだな。テスト前に、「全然勉強してないよー」とか言いながら、実は一夜漬けしてきたタイプ。

謙遜するのか自慢するのか、どっちかにして欲しいものだが。

いくら上位の魔物だろうと、吐月が契約している、最上位のベルフェゴールや。

「冥界の女王」と呼ばれるリリスを知っている以上、今更上位の魔物くらいじゃ驚かないぞ。

それから。

老紳士やご婦人の他にも、様々な魔導師達が俺達に声をかけてきた。

中には…。

「こんばんは。シルナ様、羽久様」

「こんばんは…」

話しかけてきたのは、まだ少女と言っても良いくらい若い、女性魔導師。

この人も、金カード持ちである。

どうやら、魔法が得意でありさえすれば、この国では年齢や性別は関係ないらしい。

年齢性別に関係なく、能力のある人を正統に評価される。その姿勢は良いことだと思うけど…。

「まだ若いのに…。…ゴールドカードなんですね」

つい、思ったことがそのまま口に出てしまった。

すると彼女は、照れたような、恥ずかしそうな笑みを浮かべ。

「えぇ。まだ若輩者ですが…」

「失礼ですが…。…どんな魔法を?」

「実は、私は大地魔法が得意なんです」

へぇ。それは珍しい。

「大地…と言うと、地形を変化させたり…岩や土や砂を操ったりとかいう…」

「えぇ、そうです」

時魔法や読心魔法ほどじゃないが、結構扱いが難しい魔法の一つである。

使い方を誤ると、大地を大きく変化させ、大地震さえ起こしかねない、扱いの難しい魔法だ。

「珍しい魔法が使えるんですね…」

「そんな。きっとルーデュニア聖王国には、もっと珍しい魔法を使える方がいるんでしょう?」

え、それは。

「参考までに教えてもらえませんか?どんな珍しい魔法があるのか…」

「…えーと…」

そう質問されて、俺は頭の中で仲間達の顔を思い浮かべた。

イレース…は、災害級の雷魔法が得意だが…雷魔法自体はそれほど珍しいものじゃないし…。

ナジュ…の読心魔法のことは、はっき話したし…。

天音…の得意な回復魔法も、特段珍しいものではない。

マシュリ…は、そもそも魔法は使わないし。

じゃあ令月…が使えるのは、力魔法だけだし。

あ、そうだ。すぐり。俺達にはすぐりがいる。

すぐりが得意な魔法も言えば…。

「糸魔法、ですかね」

「…えっ、糸?」

「それから、毒魔法」

「…毒…!?」

「…」

…マズい。なんか変な空気になってしまった。
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