神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
令月もすぐりも、やたらと肝が据わっている訳だ。
二人が生まれたジャマ王国では、戦争は珍しいことじゃなかった。
こう言っちゃ悪いが、ジャマ王国は、常に、いつでも、何処かの国と小競り合いをしている国だからな。
売られた喧嘩は買うのが流儀だし、何ならジャマ王国の方から喧嘩を売ることもしばしば。
だからこそ、『アメノミコト』なんていう、国を挙げての暗殺組織が結成されているのだ。
それ故、ジャマ王国出身で、しかもその『アメノミコト』に所属していた、令月とすぐりにとっては。
戦争は珍しいことでも何でもなく、今日、明日、いつ起きてもおかしくないもの。
…平和ボケした俺達とは、戦争に対する心構えが違う。
立派だと褒めて良いものか。それとも…。
…いずれにせよ、冷静でいてくれる人間が多いのは有り難い。
そして、令月とすぐりとほぼ同じ理由で、良くも悪くも「戦争慣れ」している人物は、もう一人…。
「起こるべくして起こった、ってことでしょう。別に驚くようなことじゃありません」
冷静な口調でそう言ったのは、ナジュである。
…こちらも、生まれた世界で、生まれた国で、幼い頃からずっと人間と魔導師の戦争を繰り広げてきた。
戦いの中で、あらゆる痛みと喪失を味わった。
ある意味で、この中で誰よりも、戦争の悲惨さというものを知っている。
「何処の国でも、国の歴史というのはつまり戦いの歴史ですよ。建国以来一度も戦争が行われなかった国なんて、ルーデュニア聖王国くらいでしょう」
「…そうだな…」
ルーデュニア聖王国が、平和過ぎるのだ。
異常なくらいに。
それは、健康以来ずっとこの国を影から守ってきた、今俺の隣にいる男のお陰である。
「…それで、アーリヤット皇国に宣戦布告したのは、どの国なの?」
こちらも冷静なマシュリが、シュニィにそう尋ねた。
マシュリとしては…複雑な思いだろうな。
神聖アーリヤット皇国は…マシュリの古巣であって。
少し前だったら…今頃マシュリも、その戦争に巻き込まれていたかもしれないのだ。
…それにしても。
マシュリの言う通り、どの国がアーリヤット皇国に戦争を仕掛けたのかは気になる。
「…それが…」
と、シュニィは少し言い淀み。
しかし、それでも言わない訳にはいかないと観念したらしく。
「…キルディリア魔王国です」
小さな声で、それでも確かに、彼女はそう言った。
…キルディリア…だと?
俺も、シルナも、思わず顔が青ざめたが。
「…きるでぃりあまおーこく、だって。『八千代』、知ってる?」
「さぁ。知らない」
元暗殺者二人が、あまりにも人気な口調でいうものだから。
…何だろう。思いっきり脱力してしまった。
二人が生まれたジャマ王国では、戦争は珍しいことじゃなかった。
こう言っちゃ悪いが、ジャマ王国は、常に、いつでも、何処かの国と小競り合いをしている国だからな。
売られた喧嘩は買うのが流儀だし、何ならジャマ王国の方から喧嘩を売ることもしばしば。
だからこそ、『アメノミコト』なんていう、国を挙げての暗殺組織が結成されているのだ。
それ故、ジャマ王国出身で、しかもその『アメノミコト』に所属していた、令月とすぐりにとっては。
戦争は珍しいことでも何でもなく、今日、明日、いつ起きてもおかしくないもの。
…平和ボケした俺達とは、戦争に対する心構えが違う。
立派だと褒めて良いものか。それとも…。
…いずれにせよ、冷静でいてくれる人間が多いのは有り難い。
そして、令月とすぐりとほぼ同じ理由で、良くも悪くも「戦争慣れ」している人物は、もう一人…。
「起こるべくして起こった、ってことでしょう。別に驚くようなことじゃありません」
冷静な口調でそう言ったのは、ナジュである。
…こちらも、生まれた世界で、生まれた国で、幼い頃からずっと人間と魔導師の戦争を繰り広げてきた。
戦いの中で、あらゆる痛みと喪失を味わった。
ある意味で、この中で誰よりも、戦争の悲惨さというものを知っている。
「何処の国でも、国の歴史というのはつまり戦いの歴史ですよ。建国以来一度も戦争が行われなかった国なんて、ルーデュニア聖王国くらいでしょう」
「…そうだな…」
ルーデュニア聖王国が、平和過ぎるのだ。
異常なくらいに。
それは、健康以来ずっとこの国を影から守ってきた、今俺の隣にいる男のお陰である。
「…それで、アーリヤット皇国に宣戦布告したのは、どの国なの?」
こちらも冷静なマシュリが、シュニィにそう尋ねた。
マシュリとしては…複雑な思いだろうな。
神聖アーリヤット皇国は…マシュリの古巣であって。
少し前だったら…今頃マシュリも、その戦争に巻き込まれていたかもしれないのだ。
…それにしても。
マシュリの言う通り、どの国がアーリヤット皇国に戦争を仕掛けたのかは気になる。
「…それが…」
と、シュニィは少し言い淀み。
しかし、それでも言わない訳にはいかないと観念したらしく。
「…キルディリア魔王国です」
小さな声で、それでも確かに、彼女はそう言った。
…キルディリア…だと?
俺も、シルナも、思わず顔が青ざめたが。
「…きるでぃりあまおーこく、だって。『八千代』、知ってる?」
「さぁ。知らない」
元暗殺者二人が、あまりにも人気な口調でいうものだから。
…何だろう。思いっきり脱力してしまった。