泣ける程に愛してる。
その後、一年だけの契約結婚のつもりだった為、お互いの親には挨拶をしておらず、契約結婚から恋愛結婚にスライドしたわたしたちは、お互いの親に結婚の報告をしに言った。
わたしたちは、共に片親で育ち、母親しか居ないのだが、わたしの実家に行った時は「あら、やだぁ!咲、素敵な人見つけたわね!啓人さん、咲を宜しくお願いします!」とあっさり祝福してくれて、啓人の実家に挨拶に行った時は、「咲さん、こんな息子でいいの?何か不満なことがあったら、すぐわたしに相談してね?わたしは、咲さんの味方だから!」と言ってくださり、緊張なんて必要ない程、両家の親に祝福してもらった。
そして、その数日後。
また上層部との飲み会で帰りが遅くなった啓人は、珍しく泥酔して帰宅した。
「ちょっと、啓人?大丈夫?」
千鳥足の啓人を抱え、ソファーへと移動させる。
すると、その啓人の手には紙袋が持たれていて、わたしに差し出したのだが、その中身を想像出来たわたしはクスッと笑ってしまった。
「またこんなに買ってきたのぉ?」
そう、紙袋に入っていたのは、KA◯DIの杏仁豆腐だった。
「だってパンダ、咲、好きだろぉ?俺、愛妻家だから!専務たちにたくさん惚気てきた!」
「もう、ちょっと待って?お水持ってくるから。」
そう言って、わたしがお水を取りにキッチンへ向かおうとすると、啓人はわたしの手を掴んだ。
「咲、行かないで。」
「お水取りに行くだけだよ?」
「ヤダ、、、もう離さないから。」
そう言って、啓人はわたしに抱きついてくる。
「もう、困った酔っ払いさんですね〜」
わたしがそう言って啓人の髪を撫でると、啓人は顔を上げ、据わりかけた瞳でわたしを見つめた。
「咲。」
「ん?」
「大好きだよ。」
「ありがとう。わたしも大好きだよ。」
「咲。咲、咲〜!」
わたしの名前を呼び続ける啓人にわたしが笑うと、啓人は微笑みを浮かべながらわたしの頬に触れたのだが、一筋の涙を流した。
「愛しすぎると涙が出てくるもんなんだなぁ。」
そう言って、涙を流しながら啓人はわたしを見つけると、優しく微笑んだ。
「咲、、、愛してる。」
―END―