妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
「あ、あそこだ」
「あれは……」

 ロヴェリオ殿下は、すぐにアドルグ様を見つけた。
 私の一番上のお兄様は、辺りを見渡している。その動作から考えると、彼の方も私を探しているようだ。
 そのことに、私は息を呑む。アドルグ様が怒っているのではないか。そんな思考が頭に過って来たのだ。

「む……」

 そんなことを考えていると、アドルグ様がこちらに視線を向けてきた。
 彼は眉間にしわを寄せている。やはり怒っているのではないだろうか。今から少し億劫になってしまう。
 とはいえ、今の私がこの舞踏会の会場から帰るためには、アドルグ様を頼るしかない。彼とは話をつけなければならないのだ。

「クラリア、どこに行っていた?」
「あ、えっと、その……」
「アドルグ兄様」
「うん?」
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