妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 お父様の言葉に、アドルグお兄様は目をそらしていた。
 先日連れ出された後、アドルグお兄様はイフェネアお姉様としばらく二人で話したらしい。
 そこで行われた話し合いというものは、それなりに厳しいものだったようだ。具体的にはイフェネアお姉様に、結構真剣に説教されたらしい。

 だからアドルグお兄様は、以前よりも婚約に対する態度は軟化したようだ。
 いや今回に関しては、本当に貴族として心配しているだけだろうか。アドルグお兄様はなんだかんだ言いながらも、最終的にはきちんとした人なので、その可能性は充分ある。

「まあもちろん、それに関しては私も色々と考えている。実の所、一つだけ心当たりはあるのだが……」
「心当たり、ですか?」
「アドルグ……というよりも、この場にいるほとんどが、もしかしたらある程度は察していることではあると思うが」
「……なるほど。まあ、わからない訳ではありません」
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