妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 お父様とアドルグお兄様の会話に、私は首を傾げることになった。
 この場にいるほとんどが、心当たりがある婚約とはなんだろうか。それが私には、まったくわからない。もしかして、私がいない時に何かあったのだろうか。
 そこまで考えて、私は一つ思い出した。そういえば、ウェリダンお兄様は過去に友人との間で色々とあったと聞いている。まさかその友人とは、女性だったのだろうか。

「クラリア? どうかしましたか?」
「あ、いえ……」

 私が視線を向けると、ウェリダンお兄様はきょとんとしていた。
 どうやら、少なくともウェリダンお兄様は自身のことだとは思っていないようである。
 もしかして、お父様も適当に言っているだけなのではないだろうか。それぞれ違う人のことを考えている可能性もあるのではないかと、私は思ってしまった。
< 274 / 309 >

この作品をシェア

pagetop