妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 ロヴェリオ殿下は、笑顔を浮かべていた。
 その笑顔の理由は、私にもよくわかる。ヴェルード公爵家の人々は、良い人ばかりだからだ。
 こんな私でも受け入れてもらえる。それはありがたいとしか言いようがないことだ。その寛大な心には感謝しなければならない。

「でも、やっぱり少し心配なことはあるんですよね……」
「心配なこと?」
「ヴェルード公爵夫人のことです。私のことをどう思っているのでしょうか? それがわからなくて……」
「ああ……」

 私は、ロヴェリオ殿下に気になっていたことを相談してみることにした。
 ヴェルード公爵は、私の父にあたる人物だ。彼からは最初に顔を合わせた時から、敵意や害意というものは感じなかった。実の娘であるため、それは当たり前といえるだろうか。
 わからなかったのは、ヴェルード公爵夫人だ。妾の子である私のことは、当然快く思っていないはずである。他の人とはなんとか上手くやっていけそうなため、それが今は気掛かりだ。
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