妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
「……クラリアの母親は、カルリアと言います。かつてはラウゴッツ侯爵家、つまりは私の実家に仕えていたメイドです」
「ほう、そうだったのか……」

 母親の言葉に驚く国王様を見ながら、アドルグは思い出していた。
 確かにそのような名前のメイドが、昔公爵家にいたような気がしたのだ。
 そういえば、ある時からを境にそのメイドは見ていない。それが今から十年程前、丁度自分とクラリアの年の差くらい前のことだと、アドルグは気付いた。

「彼女は祖母の代からラウゴッツ侯爵家に代々仕えてきた家系の出身です。扱いとしては平民でしたが、侯爵家でもそれなりに影響力がある一族でした」
「なるほど、さぞ立派なメイドだったのだろうな」
「ええ、しかしそれだけではありません。私にとって彼女は……友達のようなものでした。幼少期から仕えてもらっていましたから」
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