妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 私の毎日というものは、イフェネアお姉様の顔を見て始まり、その顔を見て終わる。
 一緒の部屋で過ごすということは、そういうことだ。大きな広いベッドの中で、私はお姉様と身を寄せ合っている。

 恥ずかしい話ではあるけれど、私はいつもお母さんとそうやって一緒に眠っていた。
 もしかしたらこの部屋よりも狭いかもしれない家の中で、寒い日は特にお互いを温め合っていたのである。
 今となっては、そんな日々が懐かしく思えてくる。その日々が戻って来ることは、きっともうないのだろうけれど。

「クラリア、何かあったの?」
「え?」
「浮かない顔をしているわ。私で良ければ、力になるけれど」

 そんな風に感傷に浸っていると、イフェネアお姉様が話しかけてきた。
 それに私は、どう答えていいかわからない。確かに心の中に不安というものは存在しているが、それは素直に話せる程に簡単なものではなかったのだ。
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