妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
「……ウェリダンお兄様のことで少し気になることがあるんです」
「あら、あの子がどうかしたのかしら?」
「その、いつも笑っているので、どうしてなのかと思って……」

 私の口から出てきたのは、不安ではなくてウェリダンお兄様のことだった。
 実の所、それも気になっていたことである。あの笑みというものは、一体どうして生まれたものなのだろうか。
 楽しい時も寂しい時も苦しい時も、きっとウェリダンお兄様は笑っている。あの不気味な笑みというものは、生まれつきだったのだろうか。

「昔はそうでもなかったのだけれどね」
「そうなんですか?」
「ええ、というよりも、あの子は感情を表に出すのが苦手だったのよ。いつも無表情で……無機質だったの。それを友達に指摘された時からかしら。あんな風に笑うようになったのは」
「なるほど、それであんな不気味な笑顔を……ああいえ、すみません」
「いいえ、大丈夫よ。私も少なからず、そう思っている所があるから」
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