相思相愛・夫婦の日常~ひか♡ちな編~
光琉✕千波✕雷太
今俺とちなちゃんは、雷太の眠る墓の前にいる。
ちなちゃんと並んで手を合わせた。

もし雷太が行きてたら……
今頃、俺とちなちゃんをどんな風に見てくれていただろう。

雷太のことだ。
きっと嫉妬しながらも、俺達のことを見守ってくれていたはずだ。

しかし雷太はたった一度だけ、自分がちなちゃんの兄であることを恨んだことがある―――――――


俺達が高校に入学して少し経った頃。

「なんで俺は、ちなの兄貴なんだ?」
雷太がポツリと言った。

「ん?どうした、急に」

「ちな、入学早々から告白されまくってるらしい」

「そうなんだ。
でも、当たり前じゃん!
ちなちゃん、可愛いもん!外見も内面も」

「………」

「雷太?」

「光琉」

「ん?」

「今から言うこと、俺の独り言だから。
聞いてもすぐに忘れてくれ」

「は?」

「俺がちなの兄貴じゃなくて、ただの男だったら……
今頃ちなを俺だけのモノにして、例え告白でさえもさせない。
ちなを誰の目にも触れさせない……!」

「………」

「………」

「………」

「………」

雷太の表情があまりにも切ない。
俺は何も言えなかった。

俺達の間に、沈黙が続いて………
雷太が「あーーー!!!!」と叫んだ。

「うるせぇよ」

「よし!
光琉、腹減った!何か食いに行こうぜ!」
そう言って、いつも雷太に戻ったように笑った。


俺はいつも、雷太に“ちなちゃんに告白させてほしい”と頼んでいた。

それを雷太は、どんな気持ちで聞いていたのだろう。

出来ることなら“雷太自身が”告白したかったのかもしれない。
だから雷太は、いつもちなちゃんの傍にいた。

どんなに“シスコン”とからかわれても、ある意味傍にいるのが辛くても、ずっと……

俺は、墓に向かって誓うように言った。

「雷太。
ちなちゃんと結婚したよ。
雷太は、祝福してくれるかな?
もし、反対したとしても……
…………ちなちゃんは“俺が”幸せにする。
だから、見ててほしい……!」

するとちなちゃんが、俺の頭を撫でてきた。

「ん?ちなちゃん?」

「お兄ちゃんは、絶対祝福してくれてたはずだよ!
ひかくんは、素敵な人だもん!
大丈夫!
お兄ちゃんは、私達をずっと見守っててくれてる……!」

優しく風が吹いて、ちなちゃんの柔らかい髪の毛を揺らす。
微笑むちなちゃんが、女神のように綺麗だ。

俺は、ちなちゃんに大きく頷いた。
「ひかくん、行こ?」


俺達は雷太に「また来るから!」と、手を振った。

また優しい風が吹いて、雷太が「ちなを頼む…!」と言っているような気がした。














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