上司と始める秘密の子作り契約?!~あなたのことを好きになってもいいですか~
 温かな熱風があかりの濡れた髪を舞い上がらせる。不破の手が優しく髪の毛を絡め取り毛先から徐々に乾いていく。

 温かな熱を身体中で感じてあかりは気持ちまでもフワフワされる。心地よい、もう寝れる、それくらい浮遊感が襲ってくる。

 こんな風に誰かに甘やかされたことなどない、包み込むように優しく抱きしめられたことはないのだ。
 
 それを感じて、今のこの熱に包まれると込み上げてくるものがあった。

「……あかり?」

「……違います」

「あかり……」

 カチッとドライヤーのスイッチが切られて室内がシンッとする。そこにあかりが鼻をすすり上げる音が響いた。

「ダメですね、年取ると……涙腺が勝手に緩むんですよ」

 努めて明るく振舞った、大げさに取られたくなかった。勝手に零れ落ちた涙の意味を問われたくないから。
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