Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「刑事さんいい加減にしてください。小夜が落合先輩を殺すはずがないじゃないですか!」
小夜の友達で18時から18時半まで電話をしていたという加藤みのりは、桂木と野間にそう憤った。
野間がみのりを落ち着かせようとしながら、穏やかに聞いた。
「まあまあ。私達はまだ下条さんを犯人だと決めつけてるわけではありません。加藤さん。あなたは下条小夜さんと親しい仲なんですよね?」
「ええ。そうですよ?」
「では下条さんが落合広之から振られたことも知っていますよね。その後、下条さんはどんな様子でしたか?」
みのりは少しの沈黙のあと、声のトーンを落とした。
「それは・・・落ち込んでいましたよ。勤めていた会社も辞めてしまったし・・・。でも小夜は前向きに頑張るって言ってました。小夜は人に傷つけられても傷つけるような人間ではありません。」
「電話では何を話されたんですか?」
「たわいもない話です。最近お米が高いよね、とか・・・そうだ。小夜と話しているとき、小鳥の声が聞こえました。小夜が最近飼い始めた・・・えーと名前なんだっけ・・・?」
「マシュ、ですか?」
桂木の言葉にみのりは大きく反応した。
「そう!マシュちゃん。文鳥のマシュちゃんの鳴き声が電話口から聞こえてきました。だから小夜は18時には絶対に自宅にいたはずです。」
「わかりました。ご協力ありがとうございました。」
みのりは強い口調で桂木に訴えた。
「刑事さん。小夜の無実を証明してください。お願いします!」
「・・・最善を尽くします。」
桂木はそう答え、頭を下げた。