Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
しばらくして、広之から会いたいと呼び出された。
小夜は不安と期待を胸に、待ち合わせの喫茶店へと向かった。
久しぶりに会った広之は、いつになく柔和な顔を小夜に向けた。
「久しぶりだな。元気だったか?」
出会った頃のような広之の笑顔に、小夜の心も緩んだ。
「うん。広之も元気そうで良かった。」
しばらくはお互いの近況や、当たり障りのない雑談が続いた。
そして話が途切れた。
小夜が妊娠のことを伝えようとしたそのとき、広之が大きく頭を下げた。
「小夜に頼みがある。」
「・・・・・・。」
「知り合いに紹介された投資話に乗って騙された。絶対に儲かるからって言われて・・・でも詐欺だったんだ。」
「そう・・・なんだ。」
「それで借金が膨らんでしまって・・・いま、ものすごく困っている。」
次の言葉を聞かずとも小夜にはわかっていた。
どうして突然小夜を呼び出し、愛想の良い態度を示していたのかを。
「小夜。頼む。金を貸してくれないか?100万。いや50万でもいい。」
「・・・・・・。」
「俺にはお前しかいないんだ。お前が必要なんだ。お前だけが頼みの綱なんだよ・・・。」