Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
項垂れる広之に、小夜は妊娠の事実を言い出せなかった。
今の広之はそれどころではないだろう。
それに広之は人に弱みを見せるのが嫌いな男だ。
そんな広之が自分だけを頼ってくれている。
しかし小夜にもそんな貯金はなかった。
小夜は消費者金融から100万円のローンを組み、それを広之に渡した。
「ありがとう。助かったよ。この恩は一生忘れない。すぐに借金を清算して、近いうちにダイヤモンドでも買ってやるから。」
そんな安っぽい言葉でも、広之の役に立てたことが小夜は嬉しかった。
広之の問題が解決したら、そのときこそ妊娠のことを告げよう、小夜はそう思った。