Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
桂木と結婚して1年後、小夜は妊娠した。
小夜はずっと不安だった。
一回流産してしまった自分は、妊娠しにくい身体になってしまったのでないか、と。
毎夜のように桂木に抱かれているのに、妊娠の兆しがないことも不安要素のひとつだった。
だから妊娠の事実を知った時、大きな喜びと同時に恐れもあった。
またもしお腹の子が流れてしまったら・・・
そのことを正直に告げた小夜を、桂木はそっと抱きしめた。
「大丈夫だ。きっとこの子は絶対に俺達のところへ来てくれる。心配するな。」
その言葉で小夜の迷いも吹き飛んだ。
「・・・うん。」
「俺達の大事な子だ。大切に育てような。」
そう言って桂木はお腹の子に向かって話しかけた。
「元気に産まれてこいよ。ママは泣き虫だからいい子にしてるんだぞ。」
「私って泣き虫?」
「ああ。悲しくても嬉しくてもすぐ泣く。」
「もう泣かないよ。お腹の子のために強くならなきゃ。」
きっと、前に流れてしまった子が、また私の元へ戻って来てくれたんだ。
今度はきっと、あなたを抱いてあげるからね・・・
小夜はお腹の子に心でそう呼びかけた。