Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
しかし、その後すぐに広之と連絡が取れなくなった。
LINEも電話も着信拒否され、住居はもぬけの殻、会社も転職したようだった。
そして小夜には100万円のローンだけが残された。
あんなに尽くしたのに、別れの言葉ひとつ残さず、広之は小夜の元を去った。
その事実に、小夜は糸が切れたマリオネットのように全身の力が抜け落ち、心が折れた。
結局自分は広之の何だったのだろう。
ただの自己顕示欲の対象か。
利用するだけの女で、ほんの少しの愛情さえ持たれていなかったのか。
いや・・・愛されていなかったことなど、心の奥底ではわかっていた。
そのことを直視せず、ただ惰性で広之に依存していた自分が悪いのだ。
小夜は剥き出しの心にその事実を烙印されたことが痛かった。
金を騙し取られたことより、その事のほうが悲しかった。