Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
気がつくと、小夜は固いベッドの上に寝かされていた。
視線の先には白い天井、そして腕には点滴が刺されていた。
ここはどこ・・・?
そして職場で倒れたことを思い出し、すぐさまお腹に手を置いた。
赤ちゃんは・・・?
私の赤ちゃんは・・・?
しばらくすると白衣を着た背の高い女医が、病室へ入って来た。
その表情からはなんの感情も読み取れなかった。
女医は小夜に話しかけた。
「気分はどう?気持ち悪いとかない?」
「大丈夫です。あの・・・私、妊娠していて・・・」
「ええ。わかっているわ。」
女医は目を閉じ、大きく頷いた。
「あの・・・・・・。」
知りたいことの答えが怖くて、言い出せない。
女医は平坦な声で告げた。
「あなたには酷なことを伝えなければならないわ。お気の毒だけど・・・お腹の子は流れてしまったの。残念だったわね。」
「え・・・?」
小夜はその言葉の意味を理解したくなくて首を何度も横に振った。
「嘘・・・ですよね?」
「そんなこと医者が嘘をつくはずがないでしょ?」
小夜は再びお腹に手を当てた。
もういない・・・
ここにあの子はもういないんだ・・・
そして両手で顔を覆いながら、静かに嗚咽の声を上げた。
「ごめんね・・・。私がもっと気を付けていれば・・・。ごめんね・・・ごめんね・・・」
小夜は泣きながら、何度も何度もその言葉を繰り返した。
女医はぽつりと言った。
「世の中にはどうしようもないことがあるの。あなたもそれを受け入れなければならないわ。」
それでも泣きじゃくる小夜をしばらく見つめた後、女医はそっと病室を出て行った。