Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

桂木は胡乱(うろん)な眼で小夜をみつめ、その後揶揄(からか)うように言った。

「ふん。食欲が満たされたら、今度は性欲ってか?さっきまで死のうとしていた癖に・・・現金な奴だな。冗談も大概にしろ。」

「本気です。今だけでいいから・・・誰かに強く抱きしめてもらいたいんです。」

小夜は桂木の眼の奥に潜む欲に訴えかけた。

「私をめちゃくちゃにして下さい。これまでの全てを忘れてしまうくらいに。」

「・・・お前は・・・行きずりの男にそんなことを頼むような女には見えねえけどな。」

「変わりたい・・・私、変わりたいんです。」

小夜と桂木は無言で見つめ合った。

小夜の強い意志を汲み取った桂木はフッと笑った。

「わかった。俺の身体で良ければいくらでも貸してやるよ。」

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