Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
あの透き通った瞳の揺らぎが、桂木の心の奥の何かを震わせた。
俗な言葉で言えば、守ってやりたい、そんなところだ。
これが一目惚れって奴なのか?
この歳になって恋煩いか?
我ながら無様だな・・・
あの日、桂木は関係を続けたいと強く望んだ。
けれど小夜は何も言わず、桂木の前から姿を消した。
きっとそれが答えなのだろう。
いつもの桂木なら一夜の情事など、すぐに記憶から消すことが出来た。
しかし今回は、後悔ばかりが募る。
もっと小夜に聞くべきことがあったはずだ。
どこに住んでいるのか。
どこに勤めていたのか。
そして小夜から金を騙し取った男の名前も・・・
名前さえ聞いていれば、そいつをしょっ引くことも出来たのに・・・
小夜の涙とその後の欲に溺れて、いつもの刑事としての理性が飛んでいた自分を殴りたくなった。
桂木は本気で知り合いの興信所に、小夜の身辺調査を依頼しようかと考えていた。
小夜の自殺を止めたビルの中にある、小出調査事務所で・・・