Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー
「女に振られたって?珍しいじゃない?署内きってのイケメン刑事が。」
カウンターの向こうで薫ママがそう桂木を茶化した。
桂木と野間は南池袋署捜査一課の刑事で、長年コンビを組んでいる。
野間の方が年上だが、同期でもあり、態度の大きい桂木はいつも捜査の主導権を握っていた。
「ママ。刑事とか大きな声で言わないでよ。誰が聞いてるかわからないんだからさ。」
野間が大袈裟にキョロキョロと周りを見渡した。
「はいはい。野間クン。これでいい?」
「クン付けはやめてよ。俺、もう40歳よ?」
「そうだったっけ?桂木ちゃんと同じくらいかと思ってた。」
野間には家庭があり、小学生の子供もいる。
しかし桂木は所帯を持とうと思える女にはいまだ出逢えず、独身を貫いていた。
「それはお世辞が過ぎるでしょ。桂木はまだ30代なんだから。」