Embrace ーエリート刑事の愛に抱かれてー

どんな手段を使っても、誰よりも早く小夜の家を突き止めるつもりだった。

桂木は小夜の小柄な身体をそっと尾行した。

江古田から西武池袋線で二つ先の椎名町の改札を降り、商店街のある道を抜け、10分ほど歩いた場所に小夜のアパートはあった。

錆び付いた階段を上り、一番奥の部屋の鍵を開け、入っていく。

桂木は間を置かずにアパートの階段を駆け上り、小夜の部屋のチャイムを連打した。

しばらくして、ドアが細く開かれた。

小夜が何かを言う前に、桂木はそのドアの隙間に足を挟み、強引にこじ開け、狭い玄関に入り込んだ。


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