true or false～銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する

「おはよう！差し入れ持って来たわよ！」
ふくよかでエプロン姿の女性が、珈琲とサンドイッチを持って、明るい笑顔と声で部屋に入って来た。

「おはようございます、小巻さん」
この人がこまさんの奥さん。
そして、心聖の本当のマスター･･･
小巻さんがテーブルの上に置いている間に、加東さんが、所長室のドアをノックすると、上着を脱いでネクタイを外した片桐さんが出て来た。

「小巻さん、いつもありがとうございます」
「いいのいいの！いつも主人がお世話になっているからね！あっ、こちらが深澤さん？」
「初めまして。今日からお世話になります、深澤です」
「あらぁ～、この事務所にぴったりのお嬢さんね。清純さが滲み出てるわ。まるで私の若い頃みたい」
「小巻さん･･･弁護士の奥さんが、嘘はいけないですよ」
「あらっ、本当よ、加東君。ねぇ、優聖君？」
「ノーコメントでお願いします」
真面目な顔をして答えた片桐さんに、小巻さんは大笑いしていた。

「もぉー、そんな真顔で返さないでよ。深澤さん、手が掛かる3人を宜しくね」
「はいっ」
小巻さんは手を振って部屋を出て行った。

「サンドイッチは2人で分けなさい」
片桐さんは、珈琲だけ持って、所長室に入って行った。