true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
「深澤さん?」
「片桐さん・・・助けてください・・・」
「どうしたっ⁉︎何があった⁉︎」
「更衣室のドアが開かなくなって・・・」
「直ぐに帰るから待ってろよ!」
電話が切れると、ホッとして力が抜けた。

しばらくすると、ドアの前がガタンッと音がして、ビックリして立ち上がった。
「深澤さん、俺だ。開けるぞ!」
ドアが開き、走って来たのか、片桐さんは息を切らし立っていた。

「大丈夫か!どうして、もっと早く、電話して来なかったんだ!」
「・・・ご迷惑かけたくなくて」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ?」
「すみません・・・」
「怪我は無いか?」
「はい・・・大丈夫です」
息を整えながら、心配する片桐さんを見て、一瞬、本当の恋人と勘違いしてしまった。
ただ、所長として責任を負う立場なだけなのに・・・

「会社で何かあれば、所長の片桐さんにご迷惑かけるのに・・・気をつけます」
「全く・・・この俺を振り回すなんて・・・君くらいだ」
「本当にすみません・・・」
「・・・・・・」
お詫びしたけど、無言の片桐さんは、相当怒っているんだろうと、顔を上げるとじっと私を見つめている。

「あの・・・片桐さん・・・ここは狭いので、外で叱られます」
許しを乞うように謝ると、真剣な表情から、フゥーと息を漏らし、
「これにやられるんだよなぁ・・・」
独り言のように、小さく囁いた。
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