true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
リビングには整理整頓された本棚があって、一生掛けても、目を通せない本が並んでいる。
ソファに座って待っている間、数え切れないほど読み返されたのが分かる、テーブルに積み上げられた様々な書籍を見て、圧倒された。

これでも法学部だ。そう思って読むけど、目がショボショボする・・・
難しい上に、先週からあまり眠れず、今日は過去1番に緊張した時間・・・
悲しみと幸せが極端すぎて・・・疲れたなぁ・・・

ふと目が覚めると、誰かに包み込まれていることに、我に返った。
私・・・確かソファで片桐さんを待っている間、テーブルの上にあった書籍を読んでいたのに、いつの間にか寝てしまったんだ・・・
ど、どうしよう・・・きっと、片桐さんに初めてを捧げて・・・って、甘い夜を過ごす流れだったはず・・・

そっと、顔を上げて片桐さんの顔を見ると、寝ていても端正な顔立ちにドキドキする。

もう・・・寝てるよね。
少しずつゆっくりと手を伸ばし、指でそっと唇に触れた。
この唇があんなに激しく私に触れていたんだと想像すると、体が熱くなる。

もう一度、この唇に触れたい。
その時、片桐さんの腕が緩み、少し動けるようになった。
「片桐さん・・・」
囁くように声を掛けたけど、目を開けず、眠っている。
大丈夫。起きてない。

ゆっくりと、気づかれないように、上向きに首を伸ばした。
もう少し・・・あと少し・・・
唇と唇が触れそうで触れないもどかしさ・・・
無理そう・・・これ以上動くと、片桐さんが起きちゃう・・・
< 72 / 106 >

この作品をシェア

pagetop