true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
三多君、いたのかなぁ・・・
「深澤?深澤だろ?」
振り向けば、背が高く、緩やかなウェーブの髪を纏めて、スーツを着たイケメン男性が立っていた。
「は、はい」
「俺だよ、三多」
「み、三多君?」
考えていた人が目の前にいて、運命のイタズラにビックリした。
「久しぶり。深澤、もう帰るの」
「う、うん、先生への挨拶も終わったし、予定があるから。じゃあ、元気でね!」
この場から早く立ち去りたい。

三多君に背中を向けて歩き出すと、腕を掴まれた。
「待って、深澤」
「な、何?」
「あのさ・・・あの時、せっかく告白してくれたのに・・・ごめん、酷い態度を取って」
「・・・もぉ、学生の時の話だから」
「俺・・・あの時、恥ずかしくてあんな態度を・・・でも、ずっと謝らずにいたことを後悔しててさ」
「何とも思ってないから気にしないで。じゃあ」
早く立ち去りたい。
その一心で、早口に言葉を放ち、振り返って帰ろうとしても、まだ腕を掴まれたままだった。

「あの・・・三多君、その手を離してくれない?」
「何とも思ってないって・・・寂しいこと言うなよ。あのさ・・・今、彼氏、いるの?」
「ううん・・・」
「俺も彼女いなくてさ。良かったら、付き合わない?」
「・・・えっ」
突然のことで頭が真っ白になる。
1番会いたくない人に、今、告白されている。

「あっ、ごめん・・・焦りすぎて」
握っていた手を離しても、私の腕には三多君の熱が残っている。

「ずっと深澤のことが頭から離れなかった。今日、ここに来てから、どうしても会いたくて、捜していたんだ」
真剣な眼差しで見つめられると、目が離せない・・・
「嫌な思いをさせたことは、少しずつ埋めていくから。1度、チャンスが欲しいんだ」
「あの・・・久々に会ったし・・・急にそんなこと言われても」
「ずっと、あの時のこと、後悔してたんだ。本当は、俺も好きだったから・・・電話番号、教えてよ」
「でも・・・」
「じゃあ、友達登録して・・・」
携帯を差し出されて、断り切れず、登録した。
「深澤・・・綺麗になったな」
「私なんて・・・」
「変わらないその清純さ・・・可愛いよ」
褒められたことに、恥ずかしくて視線を外した。
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