true or false~銀縁眼鏡を外した敏腕弁護士は、清純秘書に惑溺する
そして、翌日。
定時で終り、小巻さん達が出掛ける1時間程度、心聖で留守番することになった。

私は、いつも座っていたカウンター席に座って、カフェラテを頼み、雑誌を読んでいた。

いつもながらに、優雅な至福の時間。
ドアベルが鳴り、1人の綺麗な女性が入って来ると、優聖さんが立っている前の席に座った。
「久しぶりね。片桐先生」
「えぇ、ご無沙汰しています」
「事務所を見に来たついでに立ち寄ったら、まさかここで会えるなんて、縁があるわ」
「何にされますか?」
「ブレンド珈琲を、ホットで」
聞き捨てならない2人の会話に耳を傾けていた。

「いつも来ていたワインバーには行ってないの?何度行っても会えないから」
「仕事で忙しいですから。それに、お酒は飲まないので」
「あんなにワインが好きだったのに。ねぇ、息抜きにこの後、飲みに行かない?」
優聖さんは何も言わず、手元を動かしている。
「最近、彼と別れて寂しいの・・・弁護士バッジ外したら、1人の男なんだから・・・今夜は一緒に―――」

大事な場面で、仕事の商談後なのか、珍しく騒がしい男性達が3人入って来て、2人の会話が聞こえ無い。

ワインを好きって知らなかった・・・
私と付き合ってから、優聖さんはお酒を飲まなくなった。
急に車を運転することあれば困るからと・・・

明らかに誘われている。2人を直視出来ない・・・
女性が艶やかに何か話をしていて、合間に優聖さんが少し口元を緩めて、返事をしている。
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