月は顔を見せない
認めてもらうために
彼、野宮晴人は自分を押し殺して周りに認めて
もらうことで生きることができる人間だ。
本当は勉強なんてしたくないのに、勉強に期待を
されているから、したくないことだってする。
期待を裏切ってしまったら、家族に酷いことを
されてしまうから。
「ただでさえ僕は何もできないのに…」
――――――――――――――――――――――
「皆さん、ご入学おめでとうございます――」
僕がこれから通う高校の入学式だ。
小学校でも、中学校でも失敗ばかりしてきた。
友達も誰一人としていなかった。
だからこの高校を選んだんだ。
新しい自分に変われるように、なれるように。
この高校は桜ヶ丘高校と言って、栃木県内でも
そこそこの偏差値の高校だ。
僕は輝かしい高校生活にわくわくしていた。
だが、今朝少しおかしなことがあったんだ。
今朝――。
「晴人、急ぎなさいよ
今日から貴方も高校生じゃないの」
母さんが少し怒こりながら僕にそう言う。
「はい、支度します」
僕は慌てて学校に行く支度をする。
高校は家から10分くらい歩いたところにあるので
そこまで急ぐ必要はない。
だが、母さんの言うことに背くと冗談抜きで
酷い目に合うのですんなりと従う。
支度が済んだので玄関で靴を履く。
「晴人、気を付けなさいよ」
「はい母さん
行ってきます」
「いってらっしゃい」
僕はそう言いながら外へ出た。
4月、ちょうど桜の時期だ。
桜の花びらが宙を舞っていてとても綺麗だ。
見慣れた道のはずなのに、いつもと違う道を
初めて見るような道を通っているように思えて
しまう。
そんなどうでもいいことを考えていたら、後ろ
からドタドタという足音が聞こえた。
しかも複数人の足音だ。
ふと後ろを振り返ってみるとそこには、
金髪の派手な男子生徒と眼鏡をかけた美少年生徒、そしてその後ろに背が高いクール系の男子
生徒がいた。
3人とも楽しそうに走っている。
多分僕と同じ学年だろうな。
なんだかその光景が微笑ましくてつい笑って
しまった。
現在――。
ということがあったのだ。
おかしな、というか平和な光景だったな…。
僕もあんな風に走り回れていたらどれだけ
気持ちがいいのだろうか。
もらうことで生きることができる人間だ。
本当は勉強なんてしたくないのに、勉強に期待を
されているから、したくないことだってする。
期待を裏切ってしまったら、家族に酷いことを
されてしまうから。
「ただでさえ僕は何もできないのに…」
――――――――――――――――――――――
「皆さん、ご入学おめでとうございます――」
僕がこれから通う高校の入学式だ。
小学校でも、中学校でも失敗ばかりしてきた。
友達も誰一人としていなかった。
だからこの高校を選んだんだ。
新しい自分に変われるように、なれるように。
この高校は桜ヶ丘高校と言って、栃木県内でも
そこそこの偏差値の高校だ。
僕は輝かしい高校生活にわくわくしていた。
だが、今朝少しおかしなことがあったんだ。
今朝――。
「晴人、急ぎなさいよ
今日から貴方も高校生じゃないの」
母さんが少し怒こりながら僕にそう言う。
「はい、支度します」
僕は慌てて学校に行く支度をする。
高校は家から10分くらい歩いたところにあるので
そこまで急ぐ必要はない。
だが、母さんの言うことに背くと冗談抜きで
酷い目に合うのですんなりと従う。
支度が済んだので玄関で靴を履く。
「晴人、気を付けなさいよ」
「はい母さん
行ってきます」
「いってらっしゃい」
僕はそう言いながら外へ出た。
4月、ちょうど桜の時期だ。
桜の花びらが宙を舞っていてとても綺麗だ。
見慣れた道のはずなのに、いつもと違う道を
初めて見るような道を通っているように思えて
しまう。
そんなどうでもいいことを考えていたら、後ろ
からドタドタという足音が聞こえた。
しかも複数人の足音だ。
ふと後ろを振り返ってみるとそこには、
金髪の派手な男子生徒と眼鏡をかけた美少年生徒、そしてその後ろに背が高いクール系の男子
生徒がいた。
3人とも楽しそうに走っている。
多分僕と同じ学年だろうな。
なんだかその光景が微笑ましくてつい笑って
しまった。
現在――。
ということがあったのだ。
おかしな、というか平和な光景だったな…。
僕もあんな風に走り回れていたらどれだけ
気持ちがいいのだろうか。
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