月は顔を見せない

いつかあんな風に

学校までの道のりは思っていたより長かった。
坂道が多いから学校までの道のりが結構キツいな。
さっきの一風変わった生徒たちのことを考えて
いたら10分なんてあっという間だったな…。
体力はとても使ったけれど。
そんなことを考えていたらいつの間にか校長の話
は終わっていた。
やばい、全然聞いていなかったぞ…。
まあいいか、どうせ挨拶だけだろうし。
「それでは、クラス分けについて話したいと思います」
クラス分け…どうなるだろうか。
「1ーA、赤木陽向、麻原野乃花――」
僕の名前はいつ呼ばれるだろうか。
それまでとても暇な気がするのだが…。
何か暇つぶしできるものはないだろうか。
このパイプ椅子の座り心地も悪いし、ずっと
座っているから足が痺れてきてしまった。
ああ、足を伸ばしたい。
だが、伸ばしてしまうと周りの人に迷惑がかかって
しまうから、今はやめておこう。
「1ーB、青井結奈、今田奏汰――」
やっとB組か…、思ったよりも時間がかかるな。
お腹も空いてきてしまった…。
「野宮晴人――」
えっ、僕、B組なのか…。
まあ知ってる人がいないから組がどこでも関係が
無い気がするが…。
うん、僕には全く関係がないな。どこでもいい。

数十分後――。

「えーそれでは皆さん、各々のクラスへ移動を
　お願いします」
やっとクラス移動か…。やっと立てるぞ。
僕は校舎の地図を見ながら1ーBへ移動をする。
廊下を歩いていると後ろからワーワーと楽しそう
な声が聞こえてくる。
この声、どこかで聞いたことがあるような…。
後ろを振り返ると、やはり今朝の3人組がいた。
「やっぱり…」
彼らもB組とか…いや、それはないな。
多分、ないと思うが…どうだろうか。
「ここがB組かぁ…」
どうやら僕が一番乗りのようだ。
教室には誰もいず、どこか殺風景だ。
僕が扉を開け、中に入ると続けてあの3人組も
B組の教室に入ってきた。
この3人もB組なのか…？