甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
「ごちそうさま」


そう言って、彼が口角を上げる。

狼狽える私から離れて、何事もなかったように自分のマグカップにコーヒーを注ぐ。


「金曜、空けといて」


去り際に、次の約束と共に頭の上に手を置かれた。


「ちょっと勝手に…」


私の返事を聞くこともなく給湯室から去った彼に、私だけが心を掻き乱されていて。

いつも以上に脈を打つ心臓を落ち着けるまで、私はその場から暫く動けなかった。
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