甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
「山口」

「何、」

「こっち向いて」

「いや」


向井くんからの誘い文句を、即座に否定する。

流されてはダメだと、頭の中で警報音が鳴り響く。


「ツンデレ」


“どっちが”と言おうとした私の顎を引き寄せ、向井くんの唇が私の唇を塞ぐ。


一瞬、触れただけの唇。

鼻先が触れ合うくらいの距離で、向井くんの瞳が真っ直ぐに私を捉えた。
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