甘い微熱ーセフレから始まる恋ー
「…飲み直す」


人通りの少ない路上で微かに紡ぎ出した声は、夜風の寒さのせいか、若干震えていた。


私の言葉を聞いた向井くんが、私の手を取る。

同じくらい冷えていた向井くんの手に身を委ね、電車で降ろされたのは我が家の隣駅だった。


「必要な物ある?」


駅のすぐ目の前にあったコンビニでそう尋ねられ、クレンジングと歯ブラシを買う。

お酒が数本入れられたカゴに水も入れさせてもらい、再び繋がれた手に導かれた先にあったマンションの三階が向井くんの家なのだと悟る。
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