どん底貧乏美女は夢をあきらめない
美玖はキッチンからお二人のいるリビングに行き

「初めまして夢野美玖と申します」

ときれいなお辞儀をした。

「ほ~、これはこれは美しいお辞儀が
できる綺麗な人だなあ。
どこかのご令嬢かな?」

とお父様は言ってくださった。

これは秘書時代の訓練のたまものだ。

いつもお辞儀が美しいと社長や、お客様に褒められたものだった。

秘書になるので所作がきれいでないといけないと思い頑張って練習したのだ。

好きでやっていた仕事ではなかったが、一生懸命に秘書としての矜持をもって仕事をしていた。

そのおかげだと思った。

何でも真剣に取り組んでいればいつか思わぬところで自分を助けてくれるものだと、前の会社の社長がよく言っていた。

「ほんとに、素敵な方ね。
大吾も隅に置けないわね。
こんな美人を見つけてくるなんて」

「見つけてきたわけじゃなくて、
美玖から来てくれたんだ。事務所の
スタッフ第1号だよ。料理もうまいよ」

となぜか得意げな大吾。

「あら、それは素晴らしいわね。
お料理はお教室に通われていたの?
イタリアン?それともフレンチ?」

畳み掛けるように、お母様に尋ねられて焦るザ・家庭料理ですとわ言えないで大吾に目をやると、美玖を、助けるように大吾が

「ほら、こんなところで立って話してないで
座ったら?美玖が昨日からケーキを焼いて
待っていてくれたんだから」

と言ってくれた。

”う~、助かった。神様仏様大吾様様だ”と心の中で手を合わせる。
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