どん底貧乏美女は夢をあきらめない
お父様とお母様はあんぐりと開けていた口を閉じると

「ああ、すっきりした。さすが美玖さん。
お父様にあれだけ言えるなんて、
素晴らしいわ。もう尊敬しちゃう」

と嬉しそうに笑うお母様その横でお父様は深刻な顔をしている。

試合をすると言ったお爺様の言葉を思い出し、自分の言った言葉が追い打ちをかけて美玖は立っていられなかった。

その場にへたり込んで

「お母様どうしましょう。
きっと勝ち目なんかありません。
生粋のお嬢様と田舎者の底辺娘なんか
勝負は目に見えてますよね?」

「あら、珍しい。美玖さんらしくないわね。
やる前から降参しちゃうの?」

「いいえ、ダメもとでやってみます。
とにかく大吾さんに報告しないと…」

その夜、美玖はお爺様との一部始終を報告したのだが、その前に電話でお父様から連絡が入っていたらしい。

「美玖その場にいなくて悪かった。
美玖一人で爺に対することになって
くやまれるよ。
俺がいれば何とでも言ってやれたのに」

と言って美玖をそっと抱き寄せた。

「父も、母も爺には頭が上がらないからなあ
美玖が言いたい事言ってくれて二人とも
溜飲が下がったと言っていたよ。
美玖なら大丈夫。
但馬玲子なんかには負けないよ」

「そうでしょうか?今回ばかりは
自分の口の悪さと負けん気の強さを
反省しました。
本当に勝てるでしょうか?
負けてしまったらごめんなさい」

美玖は大吾の胸に頬を寄せて大好きな大吾の匂いを胸に一杯吸い込んで安心するのだった。

この人をあんな女に取られたくないと美玖はダメもと死ぬ気でやろうと決心した。
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