どん底貧乏美女は夢をあきらめない
そして、次は華道の投げ入れだった。

水盤に剣山が入れてある大きな花器でいけるのと茶花を活けるように2個花器が並んでいる。

そして色々な花材が並べてあった。

美玖はなるべく枝ぶりが面白い椿を一輪茶花として、前方から見て美しく高さも考えてあまり派手にならないように仕上げた。

秘書時代はよく社長室や頼まれて受付のロビーにも飾っていた。

今も大吾のマンションに花は欠かしたことはない。

花が大好きなのだ。

実家では庭で母が花を育てていたのでそれを飾るのも美玖の役目だった。

習ったことはないけれど一応の決まりごとは押さえてあとは好きなように活けてみた。

とても楽しかった。

花を活けてる間、美玖は自分が微笑んで優しい面持ちをしているのにも気が付かなかったが、華道の先生やお爺様達はその様子を見ていたらしい。

「とても楽しそうだな」

とお爺様が思わずつぶやいた。

大吾さんが愛おしそうに答えてくれた。

「いつも事務所や家にも花を飾って
くれているんです。花が好きなんですよ
美玖は…」

とお爺様に話していた。

それを聞いていた玲子が

「私もいつも家の玄関や会社のロビーに
飾っていますわ」

と負けじと言った。

でも、会社のロビーには花屋さんが来ていたような?

玲子の飾った花は、たくさんの種類の花を活け込んだ華やかな印象の物だった。

でも茶花は知識がなかったのか、小さな花器に同じように何本もの花を挿していた。

終ると美玖は余った花や枝物と切った茎や枝などもまとめて紙に包み花ばさみも一緒に後ろに置いた。

自分の前には花器だけが見えるように表側を先生の方に向けておいた。

先生は玲子に小さな花器はどこに置くものか知っていますかと聞いた。

玲子は悪びれもせず

「小さいのでダイニングのテーブルや
リビングのコーヒーテーブルに置くと
いいと思います」

と自信をもって言い切った。

同じ質問が美玖にもされたので

「こちらは茶花だと思いますので
茶室か和室の違い棚などに飾る
ものだと認識しています」

と答えると玲子はえっと言って美玖をにらんだ。

美玖は”ご令嬢なら知っとけよ”と内心思って、玲子に微笑を返した。

勿論速攻で目を背けられた。
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