どん底貧乏美女は夢をあきらめない
美玖も大吾もすっかり疲れてしまって夢野家が帰った日は、ぐったりとしていたのだが仕事は待ってはくれない。

それからは怒涛の日々で、毎日大吾は深夜までパソコンに向き合って図面を描いていた。

美玖はそんな大吾の健康に気を配りスケジュールも気を付けて組むようにした、そして相変わらずの節約料理で大吾を癒した。

大吾が空間デザインで受賞したホテルが順調だったこともあり、ホテルの再生や商店街の再生、町おこしプロジェクトまで依頼が来るようになった。

二人は新婚生活を楽しむ余裕もないほど忙しく新婚旅行もお預け状態だ。

そんなある日、事務所に訪れたのは上品な佇まいのマダム、なんでも松濤のマンションの全面リノベーションをお願いしたいという事だった。

マダムは上沼由美子と言って区内でカフェやフレンチレストランを経営しているという事だ。

義母の久美の紹介らしい。

これはきちんと応対しないといけないと、緊張気味の美玖だったが、ちょうど外出先から帰って来た大吾が

「あれっ、由美子さん、こんにちは。
今日はどうされたんですか?」

「大吾君、久しぶりね。
久美から聞いたわよ。結婚おめでとう。
奥様はこちらの方?」

と言って美玖を優しく見つめた。

「はい、僕の妻の美玖です。
美玖こちらは母の親友の由美子さんだ」

そう言って紹介してくれた。

「今ね、美玖さんに少しお話して
いたんだけど松濤に中古のマンションを
買ったのよ。そこを住みやすく快適に
おしゃれにしたいの。大吾くんと
美玖さんにお願いできるかしら?」

「もちろんですよ。な、美玖」

「はい、精一杯お手伝いさせて戴きます」
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