どん底貧乏美女は夢をあきらめない
「美玖ごめんな。俺何も買って
やってないよな。
本当に気が利かなくてごめん」

と叱られたわんこのようだ。

長い耳があればきっと垂れまくっているだろうし、しっぽは垂れ下がっているに違いない。

美玖は

「全然気にしてない。私はパリに連れてきて
もらっただけで幸せ、サンジェルマンの
おしゃれなお店で買ってもらった
可愛いバックで十分よ」

というと義母は目をウルウルさせて

「まあ、なんて可哀そうに、ほんとに
この子ったらけち臭いわね。
あんなに美玖ちゃんをこき使っておいて
ブランドのバッグ一つもプレゼントして
ないなんて、親として恥ずかしいわ。
何のためにパリに来てるのよ」

≪いやいやあなた達とは違って庶民の私は美術館巡りだけでお腹いっぱいなんですが…≫

とこれも心の声、でも大吾の手をぎゅっと握っていいのよという意味を込めて微笑んで見つめたが、大吾はすっかり熟女の二人に打ち負かされている。

「ほら見て、パパからカードも
預かってるのよ。美玖ちゃんに何でも
買ってあげろと言ってたわ。
二~三百万使ってもいいぞって、なんて
太っ腹なパパ!大吾も少しは見習いなさい。
けち臭い男はね、すぐに捨てられるわよ」

そんな訳ない。

大吾さんはけち臭くなんかない。

そう言う暇もありゃしない。

話はどんどん進んで結局明日の一時から二時間美玖を二人で買い物に連れていく事を大吾は了承させられていた。
< 61 / 73 >

この作品をシェア

pagetop