人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
『今家にいるだろう? チャイムを鳴らしたのは俺だ。部屋に入れてもらえないか?』
「は、はい」
 マスコミの人じゃないとわかり安心し私は鍵を開けた。
 広大さんが立っていてすぐに中に入って鍵を閉める。
 長い手を伸ばしてきて私の頬を包み込んだ。
「ひどい顔している」
「……っ」
 思わず私は涙を流してしまったのだ。
 すると広大さんは力強く私のことを抱きしめてくれた。
「来るのが遅くなって悪かった。一人で怖い思いをしていただろう」
「……」
 本当に優しい声で囁かれ不安だった気持ちが少し薄れる。
 正気を取り戻して顔を上げると彼はすごく心配そうな表情をしていた。
「中に入ってもいいか?」
「どうぞ」
 広大さんが部屋の中に入ってくると私は彼にアイスティーを出した。
 ワンルームの狭い部屋に住んでいる私はほとんどお客さんをあげたことはない。
 背の高い彼がこの空間にいると窮屈そうに見えた。
< 102 / 142 >

この作品をシェア

pagetop