人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 夜間だというのに動物さんたちが結構来ている。
 夜勤の事務員は忙しそうだった。
 その中、帰るのは申し訳ないと思ったが、私は明日も朝早いので失礼しなければ……。
「お疲れ様です」
 邪魔をしないように小さな声で挨拶をしてから事務所を退出した。
 更衣室に入り制服から私服に着替えた。
 今は八月で夏真っ盛。しっとりと汗をかいてくる。
 とても疲れているので食欲がない。冷たいドリンクを飲んで今すぐに眠ってしまいたいくらいだった。
 帰ったらシャワーを浴びて寝ようと廊下に出た時、宍戸ドクターと鉢合わせた。
「まだ帰ってなかったのか?」
「……お疲れ様です」
 人のせいにするのはよくないので、遅くなってしまった理由は話さなかった。すると彼の表情が歪んでいく。
「残業代がかかるんだ。あまり遅くなりそうだったら、周りの人に相談するなど対処するべきだろうな」
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