人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「頭、おかしいんじゃないの? ちなみになんだけど、今あなたに笑顔を向けていたと思うけど、きっと動物か何かと勘違いしているのよ」
 プードルと言われていたことに傷ついていたけど、自分なりになんとか乗り越えてきた。
 それなのにまたこういうふうに言われると、嫌な気持ちが胸の中に支配してくる。
「色目使ってないでしっかりと仕事しなさいよ。ちゃんとやらないなら父に言って考えてもらうことも検討してもらうからね」
 機嫌が悪そうな表情をして彼女は去っていく。
 唖然としている私のところに事務員のメンバーが近づいてきた。
「まりえさんは宍戸ドクターのことがお気に入りだから、その宍戸ドクターと親密そうなところを見て嫉妬してるんじゃないですか?」
「……親密なわけないです。お疲れの様だったので……」
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